ウクライナのオデッサから映る、日本のインフレーション
発刊日:2024年4月12日
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オデッサとは、旧ソ連領土であった今のウクライナ南部にある都市部の名前である
ここには黒海に面した港があり、今のウクライナ経済を担う重要な輸出拠点だが
ロシアの侵攻が始まった時期にウクライナからの小麦輸出が世界の社会問題となったのがこのオデッサ港であった
ウクライナが旧ソ連から独立した後、ロシアとの政治的な緊張は絶え間なく続いていた
旧ソ連領土の時代に設置されたこの貿易港は、ウクライナの独立後も引き続き利用が継続されてきた
ロシアからアジア及びアメリカ等の太平洋地域に対する輸出貿易の要となる港でもあった
独立後、ロシアとウクライナはロシア内陸部のサマラ州トリヤッチから併設するパイプラインとオデッサ港の使用協定を締結した
この協定により、ウクライナは安定した経済的な収益を確保し、自国の小麦も船済みして貿易を活発化させてきた
ロシアのウクライナへの侵攻が始まり、ウクライナ南部の地域での戦闘行為は今も継続しているのが原状だ
今、ロシアが進めているのが天然ガスのルーブルによる決済だ
中国の次に国際社会が注目しているのが隣国のインドだが、今、ロシアの石油を急激に輸入を増加している
日量200万バーレルとなり過去最高の数値となった、日本の石油輸入量が322万バーレルなので日本の消費量の62%という数値である
ロシアのウクライナ侵攻の情報が錯綜した2021年12月に入ると、WTIの原油相場はあっさりと80ドルを超えた
原油の高騰に注目が集まり始めた後、この紛争で穀類の高騰へと飛び火し、コロナ過の労働者不足も度重なり、世界の貿易コストは急騰した
世界の主要国は自国の給与水準を物価の上昇に習い相場を訂正し、給与による可処分所得の拡大で経済が循環した
これが従来のインフレーション構造といえるが、内需の拡大を促進せず、資金の循環などは決して起こらない
過去に日銀が耐えに耐えて前例なき異次元の資金緩和政策によって、企業までは資金が還流した、しかも大企業の手元流動性資金迄だ
されど大企業にとっても解決が難しい問題が残っている、法定賃金と会計学で指す社会保険/年金/労働保険の問題だ
会社が負担する社会保険及び雇用労働保険の一切は給与総額(注:標準報酬額)に対し17.15%もある
この数値は、東京都の社会保険料率に基づき40歳以上の介護保険適用者と仮定し計算した
仮に555兆円の約5%相当とする、27.8兆円を給与で支給したと計算すると、社会保険の負担金は4.76兆円にも及ぶ
このほかに、受給した社員は、4.31兆円も給与から差し引かれることとなる
会社と社員の負担合計は約9兆円となり、事業経営者が賃上げに踏み切れないマイナス要素がこの社会保険負担であるのは否定できない
政府もこの課題を重く受け止め、国民の社会保険及び年金の財源に注力し、国民と企業一辺倒の財源で運用するのはすでに限界がきている
国民と企業の所得が担う現行の所得制度であるならば、財政の支出を所得課税の税率引き上げによる財源確保をしていては
負のスパイラルが、止め処もなく回転し、さらに収益を圧迫し財源が枯渇するのは当然の結果である
消費税が上がれば大手量販店が消費者還元サービスと言って安売りを始め、消費者も貯蓄を増やしレジャーや有効費等を削減する
バブルが崩壊して32年が経つが、日本が再生できない最大の理由はここにあると考える
旧米ソ冷戦構造時代の共産党政策と同じで、インフレの発生時に大手企業が安売り競争をするのは資本主義の冒涜ともいえるのでは
日銀から始まるこの資金は、銀行から企業を経由し、最終的に消費者までしっかりと回らなければならない
消費者まで資金が還流せずして、正常なインフレは決して怒らない、その結果が大企業に眠る555兆円の埋蔵金なのでは
日銀が処分保留する日本の株式が約70兆円程度あるが、この歪んだ大量の資金を国民の給与に循環できる仕組みづくりは、混乱する現在の政局の緊急命題だ
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