内需の拡大を図らずに株式相場の転換はない
発刊日:2024年3月12日
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本日、日銀のゼロ金利が解除した
株式も国債もさほど大きな市場の変化はなく
この3月が解除の時期と市場の予想通りの結果となった。
2024年3月8日現在、日銀が保有する国債の残高も585兆円と減少し
銀行が買取した市場国債の高値指し値による日銀の買戻しの役目も一息し
2024年1月の日銀公表データによると、国内銀行の国債保有残高も79兆円と想定内の範囲となった。
昨年来、海外のヘッジファンドは日本国債のショート(信用取引の売り)も見受けられましたが
2024年の年初に比べ日本の長期国債(10年)の価格は2%下落し、金利が年0.6%から3月15日には年0.8%に上昇した。
イールドカーブコントロールと言われたYCCも漸く姿を消し、金融市場からあっさりと消えた。
また、政府が発行している利息を分離した割引債へのシフトも進み
平成13年から始めた、分離適格振替国債(ストリップス債)の発行により
満期までの支払い利息を発行価格の額面とし、利息部分を割引処理により発行するものだ
この国債のメリットは、毎年発生する金利の支払いを予算として計上する必要がなく
割引債として市中で売却できる点にあるので、国債の金利負担が大幅に軽減ができた裏技であった
1000兆円を超える国債の1%であっても年間に10兆円の支出となり、大きな効果があったと推察もできる
本日の17時15分、日銀の植田総裁は物価安定の目標が2%と持続的に継続する見通しが得られたと広報したが
少し違和感も感じられるのは否めない、この安定した物価2.0%という目標は
消費者の物価感覚では年率5%程度のインフレが襲来しているようにも見えるのは否めない
株式相場も堅調で、本日の引け値は4万0,003円と連日続伸した
決算期3月の調整も一巡し、次期四半期のポジションも大方見えてきた
次のレンジは4万円から4万3000円を目指し相場の底上げを期待する。
今回の相場はやはりインフレ相場というのがしっくりとくる
米ドルの為替は150円からの反転に時間がかかっているが、米国の経済成長が予想外に縮小せず
ドルの反転には時間を要しているのも事実だ、ただ雇用の縮小傾向が見え始めてくれば相場は反転する
財務省が進めた国債の分離政策や日銀YCCの効果も時間がかかったが株価の成長に大きくつながった
国内企業の手元資金が555兆円となっているが、企業もこの資金を使い、自社の株式を買い続けている
自社株を買い発行株式を消却することで株価を高くする寸法だ、東京株式市場が異例の呼びかけを行い促進された
株価を純資産(BPS)で割ることで算出される株価純資産倍率(PBR)というものがある
これが1倍だとその会社の時価総額が純資産額と同じということになってしまう
倒産する恐れの高いジャンク銘柄なら話は変わるが、このPBR1倍の企業がプライマリー市場にあまりにも多いのが問題だ
東証のプライム市場(優良大型株)が約半分、スタンダードが約6割も占める
日本の大手企業の半分以上がPBR1倍という事態は市場としても異常な事態といえ
早急に物価のインフレ上昇に即した株式相場の転換は必須と言われていたがやっとその節目が到来した
日本の株式を超マクロな眼目で見透かすと、この価格構造の異変に気付く
会社の純資産額で会社を変えるということは、どういうことか?
仮に全量の株式を市場で購入し、その翌日にその会社が倒産しても、株主に全額資金が戻ることになる
その法人が備える将来に向けた収益力や人材の評価に1円の評価もないということだ
この評価体制に危機感を抱いた東証は、555兆円と言われる手元資金に注力し、企業に自社株買いを進めたのが理由だ
結果、発行株式の数が減り、段階的に上がる配当のピッチ以上に株価が上昇するのは当たり前の話しである
尚、今回の相場転換に大きな購買力を駆使したのが日銀で投資総額で32兆円、時価相場で72兆円といわれている
この投資により、東京株式市場の約7%を保有する一大株主となったのがこの日銀の投資であった
これからの相場形成には、日銀や自社株買いによる上昇材料を上回る資金の流れが必要だが、次に期待できるのは国内株式ファンドの積立資金だ
安定した海外のファンド勢の投資が拡大すると米国のような市場の拡大にもさらに期待もできる
これからの日本は為替が円高、株式が相場の転換で上昇の期待となり、海外の投資家たちも東京市場を目指す
その鍵となるのが内需の拡大だ、働くサラリーマンやOL諸氏の給与が増額しなくては経済は回らない
物価のインフレを上回る賃金の上昇局面が続かない限り、経済は成長しない
かって、高度成長といわれた時代の給与は胸躍るほど賃金も上がった、原資が拡大し消費も拡大した
21世紀が始まってまだ24年だが、賃金と物価を連動させる賃金の特例措置も必要なのでは
昨年度の消費者物価上昇が仮に2%であったならば、基本給を2%連動して支給しなくては労基法上の違反とし
物価が下がった場合はそのまま据え置きし復旧するまで下げる必要性を課さないとする
中小企業での賃金上昇は大手企業と違い大変大きな負担となるが、下請け企業などの価格設定の手法にもメスを入れるべきなのでは
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