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日本経済にとって、ESGの投資は"コスト"か"収益"か
発刊日:2023年8月12日
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2006年4月、国連事務総長のコフィー・アナン氏が提唱した金融投資のガイドラインだ。
直近の2019年12月初旬に中国の武漢で発症した新コロナウイルス感染症(COVIT-19)が発症した際
そのウイルス情報の最先端は、この国連傘下のWHO(世界保健機構)であったが、そのデータ公開は今も鮮明に記憶する。
今日のテーマであるこの環境問題もコロナ過とは全く別の情報として、少し同じような違和感を感じるのはやむを得ないが
周知のとおり、ESGの言葉は環境(Environment)ソーシャル(Social)統治者(Gavernance)の略文字により国連が形成した言語だ。
このESGは、PRIという国連責任投資原則という国債的な投資ルールを先に定めた後、その一部としてこの投資ポリシーESGを発信した。
さて、日本では明治時代から始まった近代の経済社会だが、最初に企業経営のポリシーを提示したのが、渋沢栄一であった。
廃藩置県を実施し明治憲法が制定されるまでは治安の行き届いた江戸時代の風情が各地の商売を潤し管轄の藩が街を管理してきた。
今回の国連は、1945年10月24日に米国、イギリス、ソ連、中国、フランスなどの過半数の批准を受け1945年10月24日に設立された。
先の戦争が終結した日からたった70日後のこの僅かな間に国際連合は静かに誕生していた。
ESG(環境・社会・統治)の本質とは何か、2006年から既に27年が経過した歴史のある社会政策の一つとなってはいるが
国連の提唱と共にこのESGを提唱した世界ナンバーワンの米国系ファンドグループがある
1985年にリーマンブラザーズの出身者が創業したのがNYの投資ファンド会社「ブラックストーン」だ
株式投資を中心にファンドの買収による拡大を続け、米国のメルリリンチを筆頭株主とし、NYの株式市場への上場を準備した
20世紀末の1999年、会社名を「ブラックロック」と命名し、2023年6月現在値で運用資産9.42兆ドル(日本円/1366兆円)という世界一のファンドとなった。
このESGを投資ポリシーとして市場へ投げ込んできたのが、このブラックロックである。
環境と社会の課題は、企業の収益とは無縁のコスト分野と考えられるが、世界の投資家たちも市場に注力した
ESGという需要が生まれた瞬間でもあり、世界の機関投資家たちはESG投資の成り行きを鑑みブラックロックを見守った
コロナ過の時代に先進国の列強は、一目散にワクチンを抑え、国民に対する無償給付を実施した
今回のESGは、民放を中心にSDGsの枠組みの中に置かれ、キャンペーンの一環として国内で普及を開始している
このESGで百戦錬磨の機関投資家たちにとって、この投資が果たして収益を生むのか否か、その分かれ道が究極の問題である。
このブラックロック内部でも、更なる高い収益性を求めるのがポリシーとするファンドの世界にとって
社会課題の対策が収益とは無縁と思われ、投資ファンドに対する利益相反は本当に起きることはないのか、これがファンダーの率直の意見だ。
本来、社会のルールは国が法で定めネガティブ方式により禁止事項を法律で定める、環境であれば二酸化炭素の削減などの対応だ。
国家が法律で定めた禁止事項や制限行為等を目的とする会社であれば、その投資先企業は設立できていない
国連が独立国家に対し環境問題及びSDGsのような、公共性の高いアナウンスや啓蒙活動を実施することは自由であるが
国連やブラックロックが警鐘するESGという社会課題に対し、日本の政府が国民と共にもう少し別の角度から再協議が必要な分野ではと苦慮する
カーボンニュートラルという言葉があるが、脱炭素と違い二酸化炭素やメタンガスなどの需給バランスをニュートラル(均衡)とした
2020年の10月に当時の菅総理が所信表明で世界に発信した我が国の環境ポリシーだが、日本のESG促進の大いなる味方となる考え方でもある
より高い収益を上げる存在意義を持つ世界の機関投資家たちがこの環境負荷に対する課題(ESG)を"コスト"とみるか"均衡を図るか"の択一である
渋沢栄一の残した言葉に「論語と算盤」がある、同様に"環境の対応意識"と"従来の収支追及"をニュートラル(均衡)にするのが経営者の責任とする
古来から日本人は相反する2つの目的を一つに昇華する術があったのでは、論語で人の道を唱え、算盤で儲けの見通しを示した
今回のESGも、論語の代わりに自然界に対する感謝の念を心に据え、人の道に反しないビジネスでより高い収益を上げる
ESGを実行し事業を開始しても、会社が倒産しては本末転倒となってしまうが
社会的課題は、商品やサービスを作るときに重要なファクターとなる、そして"どう作るか" が次の課題だ
既に商品が山積みとなり、生産ラインに始まり倉庫物流と販売するまでのフルラインが完成している企業でESGの導入は難しい。
これから新しく始める事業や商品及びサービスの開発時からスタートする計算で始めるのが賢明だ
その環境負荷を軽減する設備や装置を使い、環境負荷を軽減化する物流やバックヤードを作り上げて行く
その環境負荷対応を行き届いた事業体制によりスタートアップし、円滑に事業を作り上げ環境対策の課題を消化していく
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