日銀の異次元金融緩和による経済成長は、今年の後半から期待か
発刊日:2023年4月12日
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本日、2023年4月17日午前5時15分、米ドルが1ドル134.19円を付け、同日の21時05分には133.80を付けた
米ドルの相場は、FRBと金融市場との対局する相場観で、目先は少しドル高へとシフトはしている
FRBが年内の利上げを示唆しているにも関わらず、市場は年後半の利下げを織り込んで相場感が形成されているのも事実だ
古典的な経済学の時代には、3京5千兆円と云われている米ドルの巨大市場がまだ誕生していなかったが
買えば上がるし、売れば下がる、この市場原理が経済を動かす以上、経済の原動力から需要を外すわけにはいかない
材料と人件費を積み上げたものが商品やサービスの原価を形成できるのであれば、今の日本のようにスタグフレーションは起こらない
人口の増加とともに国内の潜在的な需要は増えるものの
過剰ともいえる設備投資の慢性的な増大化を生み、商品やサービスの供給が過剰となった
当然、市場の原理で価格は低下し、巨大な設備をもつ大企業群に売上の偏向がはじまった
さらに、長く続いた円高局面の時代に大手企業は海外に生産拠点の移転を始めた
対応可能な中小企業のオーナーたちは、全く経験のない海外生産を開始し勝負に出た
そこで起きたのが今回のコロナ過だ、国際的なグローバルネットワークによる調達網の破壊だ
2021年12月から始まったロシアによるウクライナ侵攻
中国からの調達網の破壊に続く、ロシアの天然ガス、ウクライナの穀類と
世界は未曽有のインフレ転換へと一気にシフトした2022年であった
その背景を担い米国のシリコンバレー銀行(SVB)が倒産し、次は、あのクレディスイスが倒産した
UBSの買収によりEUの金融不安は一旦は回避できたが、AT1債などの債権は紙くずとなった
されど、安定した金融システムの信頼性が働き、取り付け騒ぎや連続した金融破綻は紙一重のヘッジでこれを免れた
マイナスレートという異次元の金融緩和政策を続けた、日米欧の主要国中央銀行は未知の金融リスクと立ち向かい始めた
米国のFRBは予想を超えるインフレの上層に伴い、金利を一気に上昇させ、物価の抑制を発動させた
欧州も同様に金利の上昇により、同様の舵を取り、インフレと真っ向から対峙した
唯一、日銀だけがイールドカーブコントロール(YCC)という魔法のような市場操作を続け、市場の債券下落を阻止した
多い日には一日50~60兆円という巨大なマネーを投入し、実勢の市中金利に連動しない長期国債(10年)を指値取引で無制限に買い入れた
ただ、市場との乖離を埋める目的で、一部、長期国債の市中金利を0.6%程度まで黙認し、少しずつ市場調整を進めている
この4月10日から新任の植田和男理事長は大きな政策変更はないことを表明したが
冒頭に本年の後半から効果が見込めるのではと表明した、その想定する経済の動向は以下の通りだ
1.米国や欧州での金利上昇に対する物価抑制効果が今年の9月過ぎから表面化する
2.物価の下落傾向が表面化することで、米国と欧州の金利低下がようやく始まる
3.そのタイミングを期して、日銀が市場への資金流用を堅持した上で、なだらかな金利上昇に転換する
このタイミングを外して日銀が金利を上げるタイミングは皆無だ
世界の金利が低下する中、日本の金利だけがなだらかな上昇を開始する
国債の暴落リスク抑制の目的として、円高による海外からの国債投資を活発化させる狙いだ
既に日本の国債を空売りしていた海外投機筋の総崩れも期待でき
空売りした国債の買戻し決済がどうなるのか、あくまでも予想の域とはなるが
仮に米国や欧州の金利が低下するとで、日本の国債暴落は回避できる
世界中の投資家が狙っている国債の空売りの精算が更に加速し
円高と債券高をどこまで期待できるのか、ここが日銀の正念場ともいえる
米国の金融市場は、そう遠くない時期に金利の下落を見込んでいる
152円92銭の円安から反転した後、一気に円安の見通しは少なく
金融市場の大方の見方は円高(ドル安)の流れであることは先般承知である
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