1993年に終焉したバブル経済は、再来できるのか
発刊日:2023年6月12日
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今年の2023年1月16日、日経平均の引け値は25,822円であった。
その安定していた日経平均が、理由もなく急騰を始めた。
2023年6月20日の日経平均は33,388円で引け、僅か半年間の間に7,566円も上昇した。
株式市場の関係者は耳をそろえて、この株の上昇に疑問を投げかける
株式市場だけではない、円の金利が上昇しているわけでもないのに
国債の市場も価格が安定し、話題となっているYCCの逆イールド問題も発生せず、市場は安定している。
しかも市場の予想では、年内、米国の金利は下がることはないとする見解が90%程度と表明され
米国の株式市場は金利の引き締めがさらに上昇するおそれから、軟調な展開が続いている。
米ドルの金利が更に上昇すると本来、株式の価値は下がり、米国債も相場が下がる(市中金利は上昇する)のが市場の基本だ。
不思議なのは日本の株式で、上がる材料が乏しいのになぜか価格が上昇を始めている。
中には、30年前のバブル経済の再来だとする声も聞かれ、まるで、狐につままれたもようだ。
少し、気になるのはバブルの始まりのころと似ていることがあることだ。
1987年2月にNTT株式の売り出しが始まった、上場時の初値が160万円を付け、その数か月後に318万円まで急騰した。
今の日経平均のように半年で3割増しどころの騒ぎではない、3カ月程度で約2倍になった。
これが、バブル時代の象徴となった株式市場に投影された投資のエネルギーであった。
NTT株式の売り出しの2年前に調印したプラザ合意
アメリカの声掛けにより、世界中の通貨がドル高から、自国通貨高、に転じ始めた。
日本も235円であったドル相場が、プラザ合意の発表後に約20円下落し、215円に転落した。
こうして円高は進み2年後のNTT株式の売り出し時には、1ドル144円まで下落した。
当時のアメリカは、ドル高を是正し、内需拡大から一大転換して経済の舵を取った。
その目標としたのがこのコロナの終焉まで30年間続いたグローバルな輸出戦略であった。
米国はこのグローバル戦略の御旗に環境問題という全人類に向けたメッセージを配信した。
その口火を切ったのが、1989年11月9日のベルリンの壁崩壊という東西冷戦構造の終焉であった。
中国の排気ガス問題に始まり、二酸化炭素の排出を原因とする地球の温暖化、昨今では廃プラによる海洋水域の環境破壊と
この30年間、世界のニュースに放映されない日がないくらい、環境問題の情報が幾重にも配信されている。
今年の2023年は、コロナ過の問題を皮切りに1985年のプラザ合意から始まった米国のグローバル経済の発展は終焉を迎えた。
旧東のロシアや中国も旧西の欧米列強の各国も整列して内需拡大へ返り咲いたのが、今の国際情勢の大きな特徴だ。
イギリスは国民総選挙をもってEUからの脱会を決断し、日本も腕の見せ所で半導体の九州や北海道に誘致を決定した。
台湾のTSMCは、世界のシェア率56.1%、株式の時価総額がトヨタよりも高い62兆円だ。
北海道では、官民一体となり、経済の生命線である半導体の生産拠点を国内に誘致し、確固たる内需拡大の基盤作りが始まった。
この内需転換による投資効果が表れ始めたのが、国内の物価水準は安定して上昇し、日銀が目標とある2%の成長性は十分に確保した
米国はグローバルネットワークを武器に、アップルのスマホ戦略、半導体を含むあらゆる電化製品を世界に売りまくった。
世界の国々が自国の内需拡大にようやく目を向け始めた、グローバル市場という価格競争の激戦区に出荷せず、自国経済を見つめ直す時代といえるのか。
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