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円高誘導の戦略も、自国通貨防衛のオプションだ
発刊日:2023年7月12日
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138円20銭~80銭で推移する今日の米ドル相場
先般、145円越えをピークにドル安の局面がやっと顕在化しつつある。
対円に限らず、他の外貨に対してもドル安の傾向が少しずつ見えてきた。
2008年には、1ドルが0.65ユーロの価格を付け、2023年の現在で0.89ユーロ相当へと相場が推移した。
ゆっくりと15年間の時を経てチャートもきれいに切り上がり、ドルからユーロへと資金が移動している。
この15年間で37%相当もドルが下落しているが、現在の10年物米国債の市中レートは年率3.8%相当もある。
すでに、世界の投資家はドルの利下げを織り込んでいる。
欧州も中国も軒並み利下げが世界の兆候となっている。
本来、米国が世界の基軸通貨として米国から利下げが始まるのが市場の原則だ。
今、日本の株式が注目され始めている。
ドル建てベースによる日本の株式は大底となっているのは市場の常識だが
米国プライムレートの傾向がこれから下降に転ずる気配で、世界の大手ファンドも更に円に向かう。
世界的なレベルによるインフレ懸念も国内調達への回帰をはじめ
欧州を中心に対ドルとの金利差を縮小させ、自国通貨の上昇を招いた。
この為替政策が遅れているのが、今の日本だ。
基軸通貨たるドルの陰りが見え始めた今、円の上昇を促進させ、30年と長く低迷した日本の経済を復活する最大の好機だ。
円安で儲かったのは、人口が増え続けた高度成長期の時代限定で、輸出に依存する経済モデルの象徴でもあった。
今、熊本県内の菊陽町エリアに世界最大の半導体生産拠点の開発が進んでいる、この政府の英断には、世界も驚いたことであろう。
この工場で作る半導体は、1つのセルが20ナノメートルという
面積が0.081μ㎡で、これをミリ平方メートルに変換すると0.000000081mm2と百万分の1のスケールです。
かつ、このSRAMは112メガビットの処理能力を持ち、世界最小の半導体チップとなります。
このSRAMはこれからのドローン及び自動車、ロボット、制御装置、と様々な機械装置のAIを使用して頭脳部分として活用されます。
パソコンで使われているDRAMと違い、データの読み書き速度が速く、消費電力も省力化できるのが特徴で
DRAMと比べ単価が高く、量産が難しい技術であったこともあり、この熊本工場のSRAM生産技術に世界が注目してるのも納得だ。
予測するに、このSRAMの生産技術を台湾と共に開発し、米国や欧州へと世界の経済市場へと駆け巡る時代が見える。
ドルの金利が下がり、世界的な金利の低下傾向が始まる最中、日銀の金融政策も変更する道筋も見え始め
国是を掛けて開発に注力するこのSRAMの生産、この輸出競争力が輸出対価としての"円(YEN)"を押し上げる最大要因となるやもしれない。
世界最大手のTSMCは、株式に時価総額が62兆円、世界シェアーの約6割弱を制覇する企業だ。
この勢力をもって、台湾海峡も世界から守られている
次は、日本との生産協定をもって輸出競争力を更に高め、自国の通貨上昇を踏まえた、円高誘導の為替戦略も必須のオプションだ。
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