日本賃金は、なぜ上がらないのか?
発刊日:2022年12月12日
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今、日本の労働人口が6,933万人(2022年10月総務省発表)となっているが
3人に1人が老人となる我が国としては、人口の約半分しか働き手がいないのが実情である。
この少しショッキングな実情から、労働者の賃金が上昇できないこの時代の分析に入る。
もう一つの大きな要因は、労働格差の分断による賃金格差の問題だ。
平均的な数値でとらえる手法を用いるとなかなか実態が掴みづらいのである。
社会的な給付金の需給者と高額所得者と一般的な所得者の3つの層に大きく分かれる。
一般的な所得者層の所得が物価に連動せずに上がらないと定義し、解析を進める。
ストレートに的を絞ると労使の需給バランスの歪みとみる。
企業と労働者の労使契約が均衡に成立していれば、賃金は物価に連動するのが自然とみる。
大企業では賃金を上げずとも労働者が集まり、労働者不足は起こりにくい
小さな企業では、高い賃金で人を集めても、中々人が集まりにくい
その担い手となったのが、外国人技能実習生の制度でもあった。
ただし、日本の技能実習制度の制度には課題が多く見受けられる。
実質の最低賃金価格の問題は、円安が拍車をかけ、日本賃金は魅力のないものに変化してしまった。
企業も安く雇用を調達できたことから、新規就労者の雇用単価を上げる余裕が到底ないのが実情であった。
シンガポールでの外国人雇用には賃金に課税をし、労働者の賃金コストを平均化する政策を実施している。
例えば、マレーシア、タイ、中国、などと雇用する人種ごとに税率を定め、契約単価が違う人種の賃金を平均化した。
日本の政策とは真逆の政策だが、賃金の低い外国人労働者を国が奨励して企業に斡旋しているのは、日本以外にあるのだろうか。
安い賃金の労働者を国の支援で拡大し、結果、労働市場の賃金を押し下げる要因を生む。
最低賃金法の改定も一理あるが、市場原理を標榜する資本主義の経済ルールに相反する。
話は正に単純であるが、労働者の需要増加を生むこと以外に賃金の上昇は起こせないと断言する。
来年春ごろからのリセッション懸念もあるが、米国は物価高に連動して賃金が上昇している。
海外からの移民した労働者は、ここ2~3年対自国通貨のドル高の相乗効果もあり、とても潤った。
米国は公正な市場取引を確保し、市場原理を導入できている社会背景から、人件費も連動して上がった。
日本が賃金を上昇させるためには、以下の改革が求められる。
1)最低賃金法を廃止し、労働者を市場原理により成立させる。
賃金を上げないと罰するのではなく、市場原理を担保し、労働者を適正な市場価格に委ねる。
シンガポールのように海外労働者に課税する方式も一案で、国内労働者の単価崩壊を政策で保護する。
現在の労働組合も事業者団体のような体系に移行し、締結する労働契約の適正な成立を目指すのが妥当か
一方的な権利の要求による弾圧や抗議ではなく、経済の市場原理に基づいた団体交渉をもって企業と対峙する。
賃金の交渉は、企業と労働者の契約交渉の結果、労働の対価として成立するのが、この政策の目玉となる。
企業は、労働者の敵ではなく、資本家、経営者、労働者からなる公正な一つの法人とし
労働者は、企業の事業を構成する当事者であり
経営者は、企業の財務を担う当事者であり
資本家は、企業の資本を拠出する当事者であると定義できる
派遣法も見直し、労働者を弱者として定義せず
個人が労働契約を締結するのが就労とする概念もこれからの世代は必要だ。
弱者救済の補助金や補填に国家予算を消費せず、企業の収益改善と労働者の法的な自立を促すべきだ。
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