次世代の原子炉でイノベーションは起こせるか?
発刊日:2022年8月12日
-->
※この文章を音声データに変換、ボタンを押して再生ください。
-
本日、第2回目のグリーントランスフォーメーション実行会議が実施された。
既存の原発7基の再開発と次世代の原子炉開発及び製造を発表した。
新しい資本主義の目玉として政府発表された様子だ。
さて、この「次世代の原子炉」とは何か?
これは、従来の大型原子炉を小型化したものだ。
軽水炉や小型モジュール、高温ガス炉、高速炉、核融合炉などを示す。
従来の大型原子炉は、ウランを焼き固めたペレットという燃料を熱源とし
核分裂した際の熱エネルギーを発電タービンに移転させ、その蒸気でタービンを回転させる。
結果、反磁力エネルギーの作用で逆回転したタービンが電気を起こす。
これが、原子力エネルギーの仕組みだ。
燃料ペレットに使用するウランは鉱山から採掘する天然鉱物と低濃縮ウランがあるが
日本では、低濃縮ウランが主流となっている。
この大型原子炉の弱点は、このペレットを入れて使用する燃料棒の温度管理だ
福島の原発事故は、この冷却装置が停止し、温度が上昇し、核燃料棒のペレットが爆発した。
そこで、期待されている次世代型の原子炉は、このタービンを小型化したものだ。
格納するペレット燃料の数量を減らし、原子炉を小型化したのが軽水炉といわれるものだ。
モジュール型というのはプレハブ住宅のように部品を規格化し、原子炉の製造をスマートにした。
他、冷却にヘリウムガスを使用した高熱ガス炉、プルトニウムを発生させる高速炉がある。
さらに、まだ実用段階に入ってはいないが、核分裂とは相反する核融合発電だ。
この次世代の原子炉といわれている5種類のうち、高速炉は次世代型でもなく新しい技術でもない。
ここに平成16年8月6日に衆議院に提出された質問主意書(注:リンク)を参考に案内する。
さて、新しい原子炉は、日本の経済成長に有効か
理解が簡単なようでわかりにくい言葉の一つにGDPがある。
何をすればGDPは上がるのか、技術が新しければGDPも上がるのか、疑問は尽きない。
世界の経済学者が、難しい数学や社会心理学も活用し論理を研究している。
産業革命以降、その論点が失業対策や労働生産性が経済学の中心テーマとなった。
このテーマから脱却し、ここでは、GDPを上げるには如何にあるべきか、これをテーマとした。
この原子炉でGDPを増加させるための条件は、エネルギーコストの削減化だ。
この小型原子炉を全国津々浦々に設置し、既存の基幹配電網を再構築したところで、GDPは継続的に上がらない
設備投資と配電網の工事をしてこれで終わりだ。GDPの数%にも満たないばかりか、その年で効果は終了する。
これからの日本経済を復興させるためのカギは、産業コストの低減化だ。
しかも思い切ったコストの削減化が可及的速やかに必須だ。
原子炉を投資した年は投資と消費の合算でGDPが増加するが、翌年からは原価償却でGDPは低下する。
ニューヨーク株式の大暴落を救済したニューディール政策を思い起こす。
必要のない公共工事を増発し、大量の失業者を一気に救済したアメリカの国策であった。
今、アメリカの株式は予想を反し成長を続け、基軸通貨たる米ドルを守り続けている。
そこで、今回の原子炉開発においては、小型化したメリットを生かし、供給する電気の料金を下げるのが第一だ。
更に、クリーンエネルギーの供給者に限定し、所得補償制度によるエネルギーコストの低減化を図る。
電気代を下げることで国内の製造業も復活し、経営が厳しい飲食店なども復活する。
さらに、海底パイプラインを建設すれば国外への電気エネルギー輸出も可能であるばかりか
電気コストが下がることで、関連する自動車産業などあらゆる産業サービスの成長にも期待できる。
この方式は、投資により消費を増やすのではなく、企業や個人の所得を増やし、購買力を増加させる手法だ。
※この文章を音声データに変換、ボタンを押して再生ください。
国内外の経営者もしくはこれからベンチャー企業を目指す将来の経営者予備軍の方々へ向け
毎月12日にネットでの限定発信により、2020年1月~毎月「しんか」をご提供しております。
>
OIA協会トップページへ