日本の物品税は、これからの時代も必要か
発刊日:2022年9月12日
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昭和21年(1946年)11月3日、第90回臨時帝国会議での可決を経て、日本国憲法が公布された。
その日本国憲法第30条で納税の義務を、第84条で租税法律の義務を定めた。
この定めにより、日本国民及び法人に対し納税の義務を課し、直接税と間接税という税体系を構築した。
サラリーマンが給与からの天引きで差し引きされる源泉所得税や事業税、相続税、自動車税などは直接税とし、課税者本人が支払う。
スタンドで給油するガソリンや、20歳以上の成人に提供するアルコール類などの物品やサービスの税は間接税とした。
この間接税は、販売した事業者が消費者に代わり、税金を納税する仕組みだ。
間接税は広く均等に、直接税は累進課税方式により低所得者層の負担を軽減した。
戦後の55年体制が始まった時代から、この直間比率の見直しや抜本改革は常に政局に上がり続けた。
なぜ、この税制改革が叫ばれ続けてきているのか、当会での見解を以下に記す。
我が国の税制改革が必要な理由は生産コストの低減化の一点に尽きる。
お酒もガソリンも物品税が価格のほぼ半分であり、目に見える消費税と違い、あまりにも高すぎる。
戦後の急成長時代であれば、物価上昇がこれを補足し、物品税の消費者負担は和らいだのも事実だ。
されど、1993年のバブル崩壊以降、我が国の経済はと長期低迷し、失われた10年どころか、既に30年が経過した。
1993年の米ドルレートが125円程度であったことから、円安による影響は15-16%程度と限定的だ。
日銀がその存在意義を掛け、必死にゼロ金利政策で国債の暴落を阻止し、日本の金融機関を守っている。
今、この30年間続いた経済の低迷期を脱却するには、商品サービスの間接税を廃止する覚悟も必要だ。
当然、この代替えの財源を確保することが前提となるが、この財源という発想も根本的な発想の転換が求められる。
中東の産油国などでは、国民及び企業は所得税の負担も少なく、原油の輸出収益を中心とする予算方式で運営している。
年間の予算が83兆円を超える巨大組織たる政府が、国民や法人の所得や消費を財源とするのは時代遅れとなるのでは。
国家や予算委員会等での発言の中には、政府ファンドの創成などの声も出始めているが、具体的な投資効果が見えてこない。
ましてや、政府系ファンドに投資した際の経済効果と市場への影響が明示されず、財政運用を変革できる決断を導かない。
直近の参議院選挙では、消費税廃止を唱える政党も見受けられていたが、間接税を唱える政党は皆無であった。
仮に消費税10%を廃止しただけでは、生産コストの低減効果は10%の投資効果も見込めず、抜本的な経済改革にはつながらない。
物品税の廃止で導入効果が高いのは、ガソリン税と自動車税の廃止効果だが、課税の負担率は、70%の負担である。(1リットル166.3円の場合)
かたや、農林漁業者の保護育成の目的で、A重油といわれている軽油の分類がある。
このA重油は、70%の重課税が免税で、農家の軽トラックや漁師の漁船などの給油として使われている。
国策で守るべき、第一次産業の従事者が負担する、ガソリン税を廃止した実例が、A重油という課税の特例措置である。
この税制を拡大し、経済効果の見込まれる政府系ファンド等の創設を図り、日本の物流コストを半減化させる目標により
破綻のリスクすら噂され始めた日本の経済体制を再構築させ、国家100年の計を図る、抜本的な税制改革が必要不可欠だ。
と同時に、地政学的なリスクも拡大した昨今、食料自給率の安定化を政府系ファンド等で実施するのも、時代の責務だ。
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