今のままで、食料の安全保障は本当に守れるのか?
発刊日:2021年1月12日
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NET機関紙「しんか」の創刊日に江戸時代から続く年貢米の流通が
日本の近代的な貨幣制度の始まりでは?という持論をNETで配信した。
3日前の1月12日、梶山弘志経済産業相が閣議後の会見において、
直近のコロナ対策の一環として飲食店の取引先に向けた支援を表明した。
指定のあった1都3県で、飲食店に対し食材を卸売りする事業者に向けた支援策の一つだ。
この発表に伴い、日本の食糧安全保障問題に対して光を当ててみた。
本件の要点に対し
①国民の命を守るための「食料の確保」という面
②国家の治安を守るための「食糧の確保」という面
との2面から光を当ててみるが
国民の命を守るための「食料の確保」という側面から入る。
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「命をつなぐ」面からの食料としてみれば、栄養素とカロリーの供給で事は足りる。
昨今、大豆ミートの商品が開発され、カロリー供給としての役割を徐々にではあるが拡大している。
2013年8月には、オランダの研究プロジェクト開発チームにより、培養肉が世界で初めて実現された。
字のごとく、養殖(水産)・栽培(青果)・肥育(畜産)ではなく「培養」肉であるが
可食部分の核となる「細胞」を組織培養して対象となる肉を生産する新しい技術である。
栄養素とカロリーとしての食料安全保障のテーマに対する「新しい結合」の一つである。
従来、組織培養は対コロナウイルスの大量生産などの、医療の治療目的とする研究が進められてきた。
これは、mRNA(英文名:メッセンジャーリボ核酸)と呼ばれ、培養する細胞内のたんぱく質を量産させる遺伝子情報の一つだ。
この培養肉は、ベジタリアンの新しい食材という需要で終わることはない。
高度な医療時術の向上とその医療コストの低減化により、人類の平均年齢はさらに上昇する。
現在、約77億人と伝わっている世界の人口だが、その発展に伴う食料の安定供給は人類にとって必須の命題である。
様々なmRNA技術の実証実験を繰り返し、培養肉の量産化スピードが加速度的に向上することで、課題となっている生産コストが急降下する
目標は食肉の世界で一番生産コストの低い、養鶏の肥育コストをさらに下回ることが急務な課題であり、
このmRNA技術の向上で、いまの鳥肉より安い肉が生産され、大豆などの食肉レベルの食感と味が達成することで、
確かに全人類のカロリ―供給面からみた食糧の安全保障問題としてみれば、これを一気に解決することに期待できる。
JAXAも宇宙食料のアイテムとして、この「培養肉」の技術にも注目している。
世界人類に対するタンパク質の安定的な供給の目的から見れば、大いに期待できる革新的な技術でもある。
2020年12月2日シンガポール政府は、世界で初めて動物の細胞から作ったこの「培養肉」の販売承認を正式に発表した。
注:米新興企業「イート・ジャスト」のチキンナゲットの写真を掲載
次に、国家の治安を守るための「食糧の確保」という側面から入る。
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今から10年ぐらい前にはなるが、バングラディッシュに視察に入った際、農民の暴動や騒ぎが発生。
国民の約45%が農業に関係する仕事に就くこの国で、国民が政府に対する要求として肥料の緊急給付を要求した。
要求のあった肥料は、牛の原皮輸出大国でもあるこの国では、有機の堆肥などではなく、
ことごとくコメや野菜の成長性を促進させる「化学肥料」の要求、一点であった。
いくら畑に、コメや野菜の種を撒いても、肥えた土の中で手塩にかけて育て上げなければ、なかなか育つものでもない。
クーデターでも起きかねないこの騒動は、その後、ニュース配信がなかったことから、
肥料の政府調達に成功し、国内の治安は収まったと考えられるが、食料の安定供給は一発触発で動議も騒動も起こり、治安悪化の一大要因でもある。
最近、富山の米騒動が映画化されているが、百姓一揆なども、年貢米という波ならぬ農家負担が巻き起こした、歴史的な国内暴動の一形態であったと考える。
以上、安定供給とは食料の生産物を提供するだけが安定供給になるわけではない。
重要な専守防衛先は、その水産/青果/畜産の生産物が流通するインフラという社会的資産である。
このインフラがあってこそ、魚・野菜・肉の食料がスーパーや外食または病院や施設などの中食で販売できるのである。
EUから脱会したイギリスは、EU法に根拠を持つ、この農業政策法で制定した、農家に対する個人所得保障の制度を7年後に完全に廃止すると発表した。
これは、"public money for public goods"というテーゼで、農業という社会インフラを守るというイギリス政府の一大転換だ。
個人や企業への給付金で農業政策が加担すると、作り上げられた生産物の流通が減少し、結果、生産が停止しかねない。
旧共産体制下のソ連を思い起こすと、中央政府が国民を雇用し、中央政府が生産物を生産した
結果、競争原理のない共産体制下では、売上が上がることもなく、収益の向上も見込まれないことで
国民の所得が向上し、国家のGDPが成長することは決してなかった。それが、競争原理の働かない共産原理であった。
さて、日本の農業インフラはどうなっているのか?
この解析を次月に引き続き連続して課題を追求したいと考える。
尚、EUを脱会したイギリスでは、新しい農業政策として「環境土地管理スキーム」を作成し、イギリス国民の農業を守る方針のようだ。
株式会社オープンイノベーションファームに対する出資及び参加
発刊日:2021年1月12日
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令和3年1月14日の昨日、株式会社オープンイノベーションファームに出資し設立に参加した。
代表は池田友子が就任し、業の主な目的は、オープン系データベースシステムの開発とクラウド配信のサービスだ。
初年度には、当会との共同で青果のバリューチェーンを創る会を発足し、
コロナ経営危機にも直面する中、食の安定供給の一端を担う、外食産業の方々から、
このシステム開発のご支援を承り、外食産業の拡大に期待できる「青果のバリューチェーン」を開発する。
外食バイヤー/卸/荷受/出荷/生産者の新しい流通チェーンを作り上げることで、以下の企業の社会的責任を成就できる。
1.簡単なネット登録で販売のチャンネルを幅広く提供し、小規模な生産者にも販売機会を拡大させる。
2.新しい販売モデルを提唱し、不要な転売などの取引を是正し、流通段階でのフードロスを最小化させる。
3.物流を最短化することで、使用するガソリンの使用量を軽減化させ、二酸化炭素の削減化に貢献する。
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国内外の経営者もしくはこれからベンチャー企業を目指す将来の経営者予備軍の方々へ向け
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