グローバルスタンダードの崩壊が始まった
発刊日:2021年8月12日
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明日の8月15日は、盆の中日である。
東京などの一部地域では、7月15日がお盆となっている。
諸説あるが、明治維新に実施された改暦にその理由があったようだ。
先の大戦が終結した1945年8月15日。
この日を境に国際通貨といわれる米ドル体制が確立し、世界の高度成長が始まった。
これが、グローバルスタンダードと云われてきた、国際経済の成長モデルであった。
戦後75年間続いた、このグローバルスタンダードは、
一切の破壊する音もなく、ゆっくりではあるが世界規模での崩壊が始まった。
そのブレイクスルーになったのは、いったい何なのか、
それは、SARS CoV 2(一般名称:コロナウィルス)だ。
このウイルスが、世界経済のグローバルスタンダードを駆逐した。
これは、パソコンの世界で競い合う、ゲームの話ではない。
先月号でも提示した内需拡大への転換の話だが、
先進国が、昨年来、IT産業をその基幹とする国内調達網の整備を始めた。
ここで、鍵となるのが、コスト第一主義からの脱却だ。
グローバルスタンダードによる国際的な調達網は、最も安い商品の調達に集中した。
それが、武漢を中心とする、世界の工場といわれた中国の輸出戦略であった。
あの騒ぎから、この秋で丸2年が経過するが、まだ、その先は見えてこない。
ただ、しっかりと世界の先進国は先んじて、国内のサプライチェーンの見直しに舵を切った。
農産物の取引現場でも、農作機械や窒素リン酸カリウムなどの化学肥料が、おおよそ50%もアップした。
医療品だけではなく、この調達チェーンの組み替えにより、様々な調達物価が上昇した。
21世紀が始まって、今年で21年目だが、
今後の国内を含む、世界全体の経済が、更なる成長を遂げるには、何が必要か
米ドル一局の国際通貨体制が揺らぐ中、戦後の高度成長を作り上げてきた資本主義に、何が欠落しているのか
答えは、 中庸 である。
これは、紀元前、500年ごろの中国の書物ではあるが、
その200年後に、ギリシャのソクラテスも唱えた、メソテース、である。
端的に言えば、資本主義を科学と唱えるならば、中庸は、まさに哲学である。
儒教4書に含まれる「中庸」という書で説いていることで、
相対的な、中間ではなく、哲学的な概念からの、和、ととらえれば、特に日本人は、分かりやすいと思う。
中庸は、相対的に、足したものを、2で割るのではなく、
相手方の個を尊び、分かち合うこころ、という哲学的な概念である。
そこに搾取や強奪は、ない、その主体を認め、相手を尊ぶ、のであることから。
21世紀の経済は、資本や技術の提供、そのパートナーシップによる、内需の拡大政策の時代だ。
プロパガンダと錯覚するようなメディアの配信情報に、その国策が翻弄されることなく、
世界の各国が、開かれた内需拡大を確立し、5Gベースの情報インフラ社会を作り上げていくことを願う。