日経平均が3万円台に回復、市場は安定成長できるのか?
発刊日:2021年2月12日版(第14号)
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■ 3万0084円15銭、本日、東京株式市場の日経平均(225種)の最終値だ。
この3万円台の価格は、バブル終焉の約30年間以来の高値となった。
当時の1989年12月29日の市場最高値、3万8,915円を思い出す。
当時の中曽根首相が同様にアジアの金融センターを掲げ、
金融緩和政策の拡大により、株式市場にも大量の資金が流入した。
結果、バブルの勲章となった、この3万8,915円という史上最大の高値を作り上げた。
当時、法人や外国投資家が市場を寡占せず、個人も大きな取引を拡大し、株価を加速させていた。
そして、バブルの幕を引いたのは「不動産の総量規制」であった。
大義名分は、不動産に対する投資規制であったが、事実上の資金の引き揚げであった。
そして、この背景にBIS基準(国際銀行が課した銀行の自己資金保有率など)が作用した。
■ 以下は、日本の株価推移にかかる金融政策の推移(※印は海外市場)
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1)1986年12月~金融政策の緩和と資金の資金供給/⇔バブル経済の始まり
2)1987年10月19日~※ニューヨーク株式/➡ブラックマンデー
3)1989年12月29日~東京株式/⇔市場最高値の記録
4)1990年3月~総量規制への大転換/➡バブル崩壊の始まり
5)1992年8月~日本の株式時価総額/➡ピークの660兆円から269兆円へ(約60%ダウン)
6)1992年12月~BISにより銀行の自己資本規制/➡収縮したデフレ経済の時代へ
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+1)2008年9月15日~※ニューヨーク株式/➡リーマンショック
+2)2010年12月~※GDPの逆転/⇔日本が47位に転落し、中国のGDPが世界第2位に急浮上
+3)2010年12月15日~国策による市場介入への転換/⇔日銀がETFを通じて株式市場に大量投資を開始
+4)2016年1月19日~前例なき緩和(マイナス金利)/⇔行き場のない大量の資金が日銀から市場へ流入
+5)2021年1月29日~日銀のETF投資残高が拡大/⇔ETFの株式投資残高、約45兆円(ニッセイ基礎研究所の試算による)
+6)2021年2月15日~東京株式/3万0084円/⇔30年ぶり史上最高値の記録
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注:pixboyo(https://pixabay.com/)より掲載
■留意すべきポイント:
上記の政策推移で、注意すべき点がある。ETF残高が約45兆円もあることだ。
東証の時価増額が695兆円(2021年1月29日現在)に対し、6.47%と国内最大のファンド規模といえる。
問題は、日銀が市場で株式を買い付けるピッチだ。
年間で6兆円といわれる資金がETF(上場投資信託)を通じて買い続けていることだ。
万が一、保有株式を売れば、株価が下落し、まさに出口なき無謀な投資戦略ともいえる。
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日銀が限りなく投資したところで、企業の経営に全く関係がないように見えるが、
大局的な経済の流れを掌握することは、必須の時代といえる。
■経済予測の仮想モデル:
国家における軍事の世界で仮想敵国という言葉があるが
戦争が勃発する前に情報収集を行い、自国の敵を定めることだが、
当然、戦争が開始する前段階なので、仮想敵国と称すようだ。
敵を定めた後、可能な限りの軍事的なオプション戦略を設計する。
優先順位を定め、コード名を制定し、平時に準備するのだ。
いざ、緊張レベルが硬化し、軍事活動か開始される際にこのオプションを選択する。
企業の経営でも、前述したバブル崩壊やリーマンショック等は、まさに戦争と同意である。
バブル崩壊時は、日本の企業にとっての仮想敵国は「日銀」であり、奇襲攻撃が「総量規制」とするのが的確だ。
■設定モデルの着眼点(例):
1、企業における仮想敵国をどこで定めるか?~A:米国のFRB(連邦準備委員会)を設定
2、仮想敵国の軍事行動として何を定めるか?~A:市場資金の緊急引き揚げを設定
3、どのような経済的な大変革を想定するか?~A:繰り返す、株式市場の破綻と暴騰による経済変動
4、必要な専守防衛戦略は何を対処すべきか?~A:経営の販管費を流動コスト化し、営業キャッシュフローの黒字化を確保する
注:尚、読者の皆様の経験則を生かして、着眼点を設定し、経済予測にご活用ください。
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