中国恒大集団、運命の日"9月23日"
発刊日:2021年9月12日
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この9月23日は、恒大集団(参照:wikipedia)が発行した社債の利払い日だ
2本の5年満期社債の利払い金が8,350万米ドルと云われている、問題はその債務の総額が33-35兆円に上ると云われている事だ
日本の国家予算となる2021年度の国内税収見込み額@57兆円の半分を超える巨大な金額ということだ
満期である明後日(9月23日)に額面100万米ドルと返す証書が、金融の市中では30万米ドル相当の捨て値で売られていたということ
金融市場の見方も、"ほぼ、返済がされる見込みがない"という見解だったが
昨日の19日、不払いの通知を正式に表明し、このジャンク債は20ドル相当にさらに下がった
すでに、昨日のブルームバーグのHP上で広報されているが
中国住宅都市農村建設省は、中国恒大の主要債権金融機関に対し、同社が20日に融資の利払いを行えない見通しだと伝えた。
この不良債権の発生は、対岸の火事ではない、日本人の年金を預かるGPISも含まれているという
話は飛ぶが、日本バブルのころに、北朝鮮国債の話をアングラな市場で耳にしたことがある
譲渡レートは、額面の20%相当であった。もちろん、債務の保証など一切ない。
その後、ロシアでディフォルトが起こり、前にも書いたが、日銀の総量規制で日本経済も段階的に沈没した。
今、中国の中央政府は不動産融資の引き締めを40%相当に減らしているそうだ
真綿で首を締めるがごとき、グローバルスタンダードの崩壊も合いまった
この不動産会社は、国家が保有する土地を買い上げし、中国人民銀行の資金で決済を続けた
日本の不動産業界が、収益還元性(注:1)に切り替えるまでは、同様の投機事業に執着した。
今、この恒大集団は、国民への償還費用に"在庫の不動産"を現物支給しているそうだ
本社の玄関にまで、公安(中国の警察)が待機し、沈静化に努めているようだ
さて、日銀ではロールバックの動きもあり、
日本の金融政策がなだらかな金利上昇に向け政策を変更しだした
上海と香港での金融不安から、リーマンショック級の経済破綻が見え隠れする
恒大集団の利払い額は市場規模からするとさほど大きくはないが
債権の発行が満期5年の米ドル債であるということだ
すなわち、満期の返済に"米ドル"を弁済する借金だということだ
人民元で決済するのであれば、中国人民銀行が資金を発行し、貸付すれば取引は完了する
されど、"米ドル"を中国人民銀行は、自由にこれを刷ることができない。
数年前までの香港であれば、米ドルと兌換性の高い香港ドルを発行し、米ドルの手当ては機動性が高かった
現在の香港に、どれだけの人民元相場を守り、市場の安定に協力する投資家が残っているのか
しかも、中国の上場会社は、自国のみならず、ニューヨークやロンドンなど、世界中から"米ドル"を調達している
グローバルスタンダードの貿易を主導できた時代までは、貿易収支を"米ドル"で稼いだ。
この稼いだ"米ドル"は札のまま中央銀行の金庫に格納されていることはない
利息や配当が付加される、債権や不動産及び株式などに、その姿を変えて、保有されている
問題は、その資産が世界中に散在していることだ
万が一、恒大集団が負う9月23日の米ドル利払いを期に、ディフォルト(破綻)した場合、何が起きるか
日本のバブルでも起こった、関連倒産の暴発である。破綻会社の債権者が連結して資金が行き詰まり、倒産が激増する。
その倒産も含み、上記の海外資産等がすべて売却されるという筋書きだ
仮に1日で、経済破綻や崩壊が起きることは、ない。ただし、その節目というものがある
現在の中国経済は、昭和初期に日本が受けた外圧と、バブル崩壊直前の日銀の金融政策に、全く同じ、状況下である
その距離を置き続けたEUや国連も、不思議と舵を切り直した。インドが対中国に向け、じわりと動き出した。
中国共産党は、経済をとるのか、国内の治安維持をとるのか、難しい決断の場面となった
国内の自民党も抱えている、コロナ対策における課題、"国民の命か、それとも、経済の確保か"この問題と、構造が同義だ
昨今、不思議と二者択一の課題が多いのは、グローバルスタンダードの副作用であったのか
先月の"中庸"という言葉を借用するならば、平常の心得ということか
どちらかを選択し、削除したものを滅失させるのではなく
常に双方の目的を全うし、その相反するエネルギーを合本させ、更に向上させるのでは