発刊日:2021年5月12日号
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その課題は、2通りの側面から考察できる。
■ まず、2045年問題という、AIが変える生産手段の進化だ。
人工知能を端的に表すと、それは「学習」だ。
根拠のない組み合わせを何べんも繰り返し、その結果が正解となる、その確率を上げる。
これがディープラーニングといわれている、人工知能の学習アルゴリズムだ。
人類が持つ高度な情報の解析能力に比べ、AIの頭脳は、当初、まったくの無知だ。
されど、量子コンピューターの進捗もあり、この学習能力のスピードが天文学的に進化した。
この情報量の蓄積に伴い、人工知能の学習能力は格段と上昇し、ビッグデータの争奪戦が始まった。
AIが進化することで、労働がロボットに置き換わり、社会の様相はこれから一変する。
労働の対価とする賃金を支払う先が、労働者からロボットに変わり、労働者が消滅する。
これが、2045年問題の本質だ。
結果、企業の費用対効果の洗礼により、労働(生産手段)が消滅し、資本主義が終わる。
AIが労働を駆逐する、それが、資本主義が崩壊する、その構造だ。
■ 次に、イデオロギーという側面から観た資本主義の考察だ。
昨今、マルクスの資本論が、再考され始めている。
その中の一つに、資本主義は進化して、最終的に社会主義へと進化するという概念がある。
資本主義を標榜する民主主義国家の選挙制度は、一人一票だ。
昨年の米国大統領選挙では、大いなる選挙混乱もあったが、選挙の投票権は一人一票である。
国民の一票の重さは、すべて同じで、全国民が選挙権を有するのが、民主主義の選挙となった。
その反面、資本家が所有する法人の株式投票権は、一株一票である。
法人が生産手段を所有できる、この選挙手法は、一人一票の民主主義選挙とは、まったく違うメカニズムである。
しかも、その株式は株式の市場を介さずとも市場外の取引で自由に売買ができる。
議決権には、33%超、50%超、66%超、100%と所有のランクまで細かく分かれる。
即ち、民主主義とは、まったく異をなす、取締役の議決権という法人の間接選挙制度だ。
この議決権により、法人は売買も自由で、労働者の生産手段を保有できる。
と同時に、民主主義の間接所有という側面からの考察もある。
アメリカの建国時に掲げた、プロテスタンティズムの精神による近代資本主義は、市場原理が大原則である。
市場での自由競争により、労働手段が改善され、収益を拡大させる、これが資本主義の成長理論だ。
されど、資本主義が成長した結果、富の偏在だけでなく、ビッグデータやメディア情報などの偏在リスクも発生した。
偏在が生まれた結果、市場原理が機能不全となり、元来の資本主義が消滅する。
これが、法人の自由な売買、富の偏在と市場原理の機能不全による、資本主義の終焉である。
コロナ過により、更に速度を増幅させている、在宅やリモートワークの文化。
ソーシャルディスタンスという概念により、加速する人的なデジタルコミュニケーションの文化。
資本主義の進化は、以下の2要件が必須であると、ここに提唱する。
一、AI(人工知能)を生産手段としての活用
二、情報(インテリジェンス)の偏差是正
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