日本にデノミネーションは、再来するのか?
発刊日:2022年2月12日
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先の大戦が終わり、その翌年2月16日に幣原内閣は金融緊急措置令を発した。
戦後の急激なインフレーション対策として、新紙幣(新円)の発行が行われた。
この新円切り替え時は、旧円の流通を停止させ、新円との交換レートを定め、交付した。
これが、現在の通貨単位に変えた、日本のデノミネーションであった。
戦前は、1円、銭、厘という江戸時代から続く通貨の単位であった。
この通貨単位の変更や切り下げが、デノミネーションという政策である。
このデノミでは、旧通貨単位のを新円に切り替えし、100分の1に変更した。
戦前のドイツマルクでは、1,000,000,000,000分の1という通貨の大暴落ではあった。
デノミネーションには、3つの安定が必須だ。
為替の安定、経済の安定、政治の安定の3つだ。
この基盤が不安定な政局化で、仮にデノミを実施すると、
為替の不安定な状況下では、海外の投資家が「円」を売る影響が懸念
経済の不安定な状況下では、株式の投資家が「株」を売る影響が懸念
政治の不安定な状況下では、国内の投資家が「国債」を売る影響が懸念
まず、為替だが、ここ数年、1ドル115円台を軸にとして、大きな為替変動もない。
次に株式も、日銀のマイナスレート効果か、今は2万円台で、比較的高値で安定化している。
最後の政局も、10年前の民主政権も奪還し、自民党政権が安定化している。
今がデノミのベストポジションであるともいえるが、
次に、期待するデノミの政策を以下に定義してみる。
市場でよく云われているデノミは、100分の1でのみである。
今の為替レートで説明する。
現在の1ドルレートは、115円28銭(14:20現在)であるが、
米ドルから1円のレートを見ると、0.008674ドルとなる。
仮に100分1デノミを実施し、新円で為替を表記すると。
(新)1円は、0.8674ドルという表記に変わる。
結果、現在のユーロと同様に1ドル1円が均等な価格とする市場心理が形成される。
為替は、経済収支のバランスと均等するのが大原則だ。
貿易収支が黒字の国であれば、稼いだ外貨を売り、国内通貨を買う為替のパワーとなる。
黒字イコール、自国の通貨高という原則だ。
現在求められている日本のデノミは、国債1,000兆円を突破した債務整理の緊急打開策だ。
他、先進国の中央銀行に類を見ない、日銀のマイナスレートの継続は、苦渋の決断でることは間違いない。
金利を上げて、通貨の安定は日銀の存在義務であるが、今、そう簡単には上げられない。
一般会計上の国債金利負担が、唯一無二の理由である。
今、市中金利を1%上げてしまうと、特別会計の国債金利負担が10兆円増えるのである。
10兆円といえば、毎年、国民や企業が納めている年間の消費税支払総額の約半分に等しい。
万が一、2%金利が上昇しただけで、全国民と企業の支払った消費税が全部吹き飛んでしまうことになる。
半面、日銀が金利の上昇を抑制し続けてしまうと、世界中からインフレの大きな波が浸水してくる。
まさに八方塞がりの状況下ではあるが、全く打つ手がないわけではない。
岸田内閣が進めている国民賃金の上昇もその一手だ。
このデノミネーションを発令し、もう一つ、新しい政策を提案する。
国債の長期スワップの増発だ、企業の営業キャッシュフローの応用策である。
一般会計の国債依存度が、令和3年度ベースで40.9%もある。
この長期スワップは、国債の金利が先取りなので、毎年の国債の利払いが発生しない。
50年国債であれば、50年間利息の支払いが一切発生しない、のである。
この国債を整備発行し、日本の金利を段階的に上げる政策に大転換だ。
国債の取引は満期時までに受け取れる金利相当を額面から割引し、引き受け銀行が金融市場で取引する。
超借金大国の米国FRBは、この手法を活用し世界の基準通貨としての地位を安定的に確保している。
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