"プラザ合意は再来するのか?"
発刊日:2022年5月12日
-->
※この文章を音声データに変換、ボタンを押して再生ください。
-
先般、「日銀は政府の子会社だ」とういう発言が安倍元総理からメディアに発信された。
発言の真意は不明だが、ついに本音が出たとする野党のコメントも、切れ味が今一つであった。
日本国民が使うお金(法定通貨)は、日本銀行券である。
日本銀行の信用で発行した兌換紙幣や通貨である。
よって、日銀が通貨をする際の勘定が両建てとならないのが特徴である。
企業であれば、資本金や借入金は負債勘定となり、貸借対照表でバランスが取れる。
日銀の会計は、単純化すると以下のモデルとなる。
1.銀行に対する資金の貸付(プライムレートと言われる銀行貸付)
2.政府が発行した国債を銀行を経由して引き受ける(禁じ手とされる国債の買いオペ)
3.為替の安定化を図る目的で、米ドルなどの為替介入(財務大臣の代理人として実施)
安倍元総理の発言では、国債を際限なく発行しても
日銀は政府の子会社であるから何ら問題はない、とした。
今、国際金融シンジゲートの目は日本の円に集中している。
バブル崩壊後、日本経済は停滞し
挙句の果てにはマイナス金利という前代未聞の金融政策をとった。
そして、未曽有の低コスト資金を市中から調達し、世界の金融マーケットに資金を投じた。
所謂、円のキャリートレードと言われている資金だ。
さて、これから世界の金利は上昇し、世界的なスタグフレーションが訪れようとしている。
当然、金利が安かった円も大量に売られ、米ドルが独歩高で上昇した。
以前にも書いたが、日銀は国債だけでなく大量の株式も同様に保有しているのか、魔訶不思議である。
市場は、何ら制約もなく自由に取引を推進させることで、
資金が還流し、商品やサービスの品質が向上し、企業が成長する。
ただし、競争に負けた会社は淘汰されるのが自然の摂理である。
これが、資本主義の市場原則と言われる仕組みである。
この市場原則があるからこそ、価格が適正に形成され、産業が発展し、経済が隆起する。
見えざる神の手のように政府資金を市中に投じたところで、自由経済の原則に反するのは当然だ。
先ほど書いた、円キャリ―トレードの敏腕バイヤー達は、以下の投資姿勢が予想される。
ステージ1. 借入した巨万の円資産を切り売りし、ドルにキャッシュポジションを戻す。
ステージ2. 金利が上昇する局面では、原油及び穀物などの商品を中心に、主にポジションをコールとする
ステージ3. 1ドルが150円あたりを目安に、金利の上昇が安定した後、高金利のドル建て債券の投資にシフトする。
注: 上記ステージ3.の時期にプラザ合意が発表されるのでは?と市場では噂されている。(2024年3月ごろ)
以前に日銀の国債引き受け軍団たるプライマリーディーラーの話をしたが
国内大手の三菱UFJ銀行が2016年に離脱し、昨年の4月にUBS証券が同様に返上した。
国内のマイナスレートの最中に離脱し、国債の引き受けを拒否した。
周知の事実だが、日本の国債は、このプライマリーディーラーの1社あたり、発行額の4%相当を分担して引き受ける。
資金は、日銀の貸し出しで国庫に決済し、特別勘定に組み入れし、日常の財政収支を賄っている。
この銀行や証券会社のメンバーは、引き受けした国債に利益を上乗せして、市中で売却する。
1社あたりの取引規模は、毎年、概算予想で1兆2千億円相当の国債を25社で毎年売却しなければならい。
そこで、日銀が信託方式により市中からこの国債を引き受けする。
これが禁じ手と言われた、日銀の買いオペの仕組みだ。
市場を無視した、保護政策一辺倒のギャンブル投資だ。
日本の資本主義は稼働しているのか
現在の岸田政権は、新しい資本主義を政治公約に掲げている。
失われた30年として経済の停滞を再建させるため必要なことは
経済の過保護な政策を転換し、適正な競争原理を守ることでは。
その自由な経済活動の市場を創ることで、潜在需要が初めて顕在化できる。
※この文章を音声データに変換、ボタンを押して再生ください。
国内外の経営者もしくはこれからベンチャー企業を目指す将来の経営者予備軍の方々へ向け
毎月12日にネットでの限定発信により、2020年1月~毎月「しんか」をご提供しております。
>
OIA協会トップページへ