グローバル経済が目指したフリー関税の国際秩序
発刊日:2025年8月12日
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ウクライナはNATOに属さず、停戦後の処理をフランスを中心とするの参加国軍のユニットで駐留しウクライナの安全保障に関与する、と米国のトランプ大統領はNATO拡大を阻止するロシア軍に対し、現実を直視した停戦の交渉プランを提示した。EUが唱える軍事力の行使による国境の拡大があってはならない。されど、一旦開かれてしまったこの戦端に正論を翳したところで即座に中止させることは到底不可能な事案である。 |
米国のトランプ大統領は、この争いごとを直視し、現実的な落とし所を探っている事であろう。ここで重要なポイントは前出したNATOの扱いだ。EUが検討するウクライナのNATO加盟問題である。故にフランスなどの参加各国の国軍をウクライナへ駐留させる方向性を導いた。ウクライナの主張は理にかなった要求であることは十分に理解できるがロシアが要求するNATO拡大の阻止を踏まえると、国家百年の計を図り、苦渋の決断もやぶさかではない。 |
本誌、昨年の10月号(58号)で金相場に触れたが、予想通り、1オンスが3,000ドルを突破し、現在、3300-3400ドルのボックス圏で推移している。昨年の11月の選挙でトランプが圧勝し、国際的な金融筋の予測通り、ドルの金利を段階的に下げ、米国の高度な株式の成長を期待し、日本の株式も4万円を超え、大きな調整もなく史上最高値が続いている。この背景にあるのが金相場の調整と推察する。 |
この背景からも、直近でドル建ての金相場が反転し相場が下がる可能性が高い。米国はプライムレートを引き下げし、強力な株式相場の再生を望んでいる。金利の引き下げで流動資金を増加させ、世界の投資マネーを吸い込んでいく。米国の関税交渉も方向性が見え、我が国も含め、WTOが促進するフリー関税協定が果たして各国の国益に叶った政策であるのか、正に踏み絵を踏んでいる状況と化した。 |
東西冷戦後の世界は、輸出貿易に留まらず、生産部品のグローバル調達網をこの30年ほどで急速に構築した。その直後に来たのがコロナによる調達網の破壊だ。この破壊は、中東やロシアの侵攻に始まった軍事緊張の急激な高まりにより、原油や穀類と様々な物資が急騰した。さらに、コロナ過の影響により、港湾の人材が枯渇しコンテナ船の貨物の荷下ろしに様相だにしない混乱も起きた |
経済は正直だ、フリーの関税協定で築いてきた国際調達網の信奉者を一気に排出し、地政学リスクという触媒を導入した。結果、知的所有権やシステムを除き、世界の企業は現地でのローカルな調達へと段階的にシフトを始めた。この変動に最大の影響を受けたのが、隣国の中国といえる。先進国は中国へ進出し、自国からの部品を中国で組み当てし、米国へ輸出した。気が付けば世界最大のドル債権の保有先となった。 |
新しく蘇生されてくる世界の経済スキームがどこに向かうのか、戦後のグローバルスキームが終焉へと向かう中、世界の経済成長はどのようなプランにより、安定した成長が見込めるのか。16世紀に始まった欧州の植民地政策に端を発し、イギリスで活動したプロテスタントの一派により始まったのがピューリタン革命。そして、1776年7月4日の大陸会議をもってイギリスから独立を宣言し、建国されたのが今のアメリカであった。 |
このアメリカがフリー関税協定に大量の弓矢を放ち、関税の復活を宣言した。あまりイメージが湧かないが、米国にはVAT(付加価値税)という商品サービスの税が、ない。日本で置き換えると消費税だが、米国にはこの税金がない。よって、米国が要求した一切の輸入品目に10%を課税するというのは自然な発想である。 |
輸入関税は輸入したものやサービスに対する直接税となるが、このVAT(付加価値税)は国民が必要とする商品やサービスに付加する直接の課税である。この直接課税というのが実に分かりずらい目に見えないインフレの卵である。あらゆる業界で下請けの制度が跋扈する。建設会社などでは孫請け程度ならまだ問題がないが、下請けへの発注は想像を絶する実質の回転率だ。 |
1回の取引で10%づつ消費税が加算されて請書と発注書が回転していく。これは、ファンドの複利計算と同じだ。元受けから15%づつ5回転すると、ほぼ2倍となる。単利であれば75%だが、複利計算となると同じ15%の利益であっても、コストが33.33%増額してしまう。商品サービスの関税は、取引が高回転となるほど、そのコストアップの比率が過剰に上昇する。商品の関税率は取引金額に対する一定レートとなることから、コストは雪だるま的に大きくなる。 |
国内の直接税で一番大きな影響と云われているのがガソリン税だ。日本の野党が要求しているのが、暫定税率の廃止だが、ガソリンの税金はこれだけではない。結論から申し上げると、輸入した原油がこの直接税だけで約2倍(198.53%)となるのがガソリンの直接税の仕組みだ。税金だけでも2倍となり、そのほかに精製するコストや輸送するコストなど更に嵩む。 |
当会は専門の調査部門を有していないので、精度の高い数値を弾き出すことができないが、仮に油の税金がフリーとなった場合の経済効果は計り知れない。一般会計予算では揮発油税と称し、年間で約2兆円の税収、目的税として国家備蓄や道路整備等に使用している。仮にこの2兆円の財源を他の財源とスワップし、この直接税を廃止すると、国内の製造コストがどの程度下がるものか期待にやまない。 |
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