
一寸先は闇か、中東の嵐はいつ吹き止むのか
発刊日:2026年3月12日
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2026年2月28日未明、米国とイスラエルがイランへの開戦を開始した。エピック・フューリー(壮絶な怒り)と名付けられたこの戦術では、イランの指揮統制施設や軍事拠点を空爆し、対イランはその報復として中東全域の米軍基地などを攻撃した。さらにイランはホルムズ海峡を封鎖し、原油のタンカーを足止めさせことに端を発し原油が急騰した。2月28日まで1バーレル当たり@65ドル前後で安定した原油が3月9日には119ドルとなった。僅か1週間程度の間に価格が約2倍に膨れあがる変化だ。原油の価格には北海ブランドやWTIなどのブランドがあるが、今回はこのWTIの価格を提示したが、この名称は北米のテキサス原油の名称である。ガソリンとして生成する際にロスも少なく上質な油で、主に米国内での供給し、米国のマーケットで消費されている。 |
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次に北海ブレンドだが、イギリスやノルウェー地区の産油のブランドで、欧州や中東もしくはアフリカなどに対する供給が主軸となっている。日本では灯油やガソリンの供給に不安を抱く方々が多いいのではと察するが、欧州では天然ガスの供給に最大の危惧を示しているのが実態だ。ガスはロシアからの依存脱却を始めたあたりから中東エリアからの天然ガス拡大も始まった。経済の安全保障を担うばかりか、原油やガスなどの調達確保は国家運営の必須的な命題でもある。特に原油の供給が止まるとその影響が計り知れないからである。エネルギーに関わらず、人類の生活基盤に深く根を下ろし、経済の動力基盤となっているからである。 |
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売上高71兆732億円(1ドル@159.5円換算)、この会社は世界一の売上高を誇るサウジアラビアのアラムコ。トヨタの売上(48兆367億円)に対し約2倍の規模を誇る巨大企業だ。このアラムコはサウジアラビア政府が株式を82.18%を保持し、国家の財政を担う基盤たる財源となっている。21世紀に入ってから原子力エネルギーや光発電、他様々な代替えエネルギーの技術開発が進んではいるものの、このアラムコの売上高は今だに世界一である。車両や船舶の燃料に留まらず、化成製品の原材料としても世界の産業基盤を支え続け、世界経済の動力になっているのは誰も否定できない。 |
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その最中、ホルムズ海峡の封鎖は地政学リスクの恐ろしさを具現化した。さて、この急騰した原油が精製され、ガソリンスタンドや石油などの燃料などの商品価格にどの程度の期間で上昇してくるものなのか、そのタイムラグを少しイメージしてみる。商社などの大手企業が産出国との年間契約などの安定したサイクルで原油を確保しいるいるが、輸入された原油は国内でガソリンや石油などの燃料に精製される。その中からナフサ(粗製ガソリン)が抽出される。このナフサを熱分解して作られるエチレンやプロピレンなどがプラスティックや合成ゴムや合成繊維などを生成する原材料となる。 |
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このホルムズ海峡は、原油だけでなくナフサも精製してこの海峡を渡る。WTIの相場を示す原油はテキサス州を主とする原油の価格だ。2000年代の後半に従来の原油に代わり、シェールガスという次世代型のエネルギーの抽出が始まった。このシェールガスは精製時にコストのかかる不純物が少なく良質のガソリン供給を可能にした。車社会の米国にとってこのシェールガスは第二次アメリカンドリームともいえる国益を成長させる実に大きな発掘であった。 |
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されど、このシェールガスの採掘には難点があった、それは採掘の技術だ。従来、シェール層という地下の底深く眠る岩石層まで掘削し、シェールガスを抽出するには既存の技術では生産を見込むのは不可能であった。後の2000年後半に水平掘削と水圧粉砕技術が確立され、このシェール層からシェールガスを抽出し、ガソリンの生産も可能とした。ただし、問題が一つだけ残った。それは、掘削時の生産コストであった。ざっくりとした数値だが、米国では1バーレル(約159リットル)あたり30ドルがコストの限界といわれていた。 |
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1990年の後半は1バーレル当たり10~20ドルで推移していたことから、希望のシェールガスも当時は、正に「夢のエネルギー」となるところでもあった。2000年に入ると中国など、アジア地域等での原油の需要が増大化し、原油の相場は切り上った。その低迷した原油相場が21世紀の幕開けと共に上昇を始め、2000年代の前半では1バーレルが30~40ドルで推移、2008年ごろには1バーレルが80ドル前後まで急騰を続けた。中途で、様々な要因も重なり、当時、10~20ドルが相場ボックスであった原油が底値を切り上げ、相場は一変してきた。 |
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この原油相場の上昇が、世界で次世代型エネルギーの促進を沸騰させた。米国も同様に国内産のシェールガスを調達し自国の車両が全て動くほどの石油供給力を養うことができた。土に循環できる非プラスティック製品や植物由来の成分から石油を算出するフリーカーボンエネルギーの技術など、先進国が中心となり、その技術開発は今世紀最大のビッグビジネスウェイブとも進化した。今、中東で嵐が吹き始めている。されど、代替えエネルギー技術の開発をこの原油相場の上昇が最大の貢献をしてきたのも事実だ。 |
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隣国のサウジアラビアもこの社会的な風潮を受け入れ、自国の存立を掛けた次世代型のエネルギー開発に国力を賭して先進国と協調している。油が枯渇する前にということではなく、代替えエネルギーへの先読みで、産油からエネルギー開発の技術に投資を続けている。日本の出光興産(TYO:5019)への投資も実行し、現在9.41%の株主となっている。世界の配信会社が、世界の視聴者に、繰り返し流している、原油の停止による世界経済の混乱、果たして現実となるものなのか。
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現在(日本時間:3月17日13:31)、1バーレルは95.645ドルで推移している。株式市場や為替相場も一旦一息ついて様子を見ている状況だ。市場に嘘はない、配信されるニュースなどは全くの事実と寸分の狂いもなく事実だけが敷衍することもない。されど、相場に投資している投資家たちは大切な資金を賭して、1秒一刻を戦っている。まさに経済の戦闘行為だ。故に、全てのディーラは寝る魔も惜しんで世界の情報を収集し、投資のポートフォリオを形成している。その究極の頭脳が駆使されて出た結果がこの相場を形成する。 |
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光ファイバーなどの通信網の急速的な普及により、AIの頭脳も金融市場に既に参入は完了している。コンピュータの売買は実に簡単だ、1秒間に200回程度のタイムラグで注文を入れる。事前にプログラムを言語で開発し、自動送信のプラグを組み込み、注文が繰り返されていく。CPの世界にif条件成る言語がある。これは、仮にこの株が1株@1,000円より下がったら@999.80円で1万株を売り、逆に上がったら@1,000.20円で買いというように様々な価格変動条件を「定義」することで売買が自動的に注文されていく。 |
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投資ポリシーを埋め込まれAI頭脳を搭載したディーラーは、当然株式だけではない、株式に始まり、債権、商品、など金融市場全体でものの見事に活躍している。その傾向が強いのが相場暴落時の局面だ、一時的な売りが一期盛んに集中する。投資ポリシーのプログラムが単純に機械的な投資判断を実行し、売りと買いが超絶のスピードで売買が活発化されているからだ。リスクヘッジの技術向上もあるが、昨今の相場の回復力は日本も米国もそれは著しい。先物投資が投機と揶揄され、搾取と強欲の象徴のような評価がされているところも事実だが、先物相場は急騰や暴落する際の大いなるガス抜きとなっているのも、その隠れた効果である。 |
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